2011年8月の何日だったか忘れたけど、家で昼間にテレビのニュースで聞いたから土曜か日曜かどっちかだろう、東京電力の節電要請に応える形で東京・高円寺の阿波踊りが50回目にして初めて日中に開催されるという。
聞きながら辿っていた20年前の高円寺駅前の暑くて熱くてアツかった夜。
東京に越して4回めの夏だった。
2回めの夏に知りあった彼女と高田馬場にアパート借りてた。
半年前に失業した俺は日雇いのアルバイトの日々だった。
ねえ高円寺って行ったことある。
知らない、どこそれ。
中野は知ってるよね、その次の駅。
ふーん、それで何。
友達の家が駅前で酒屋さんやってるって、こんど町内でお祭りがあるから来てって。
あのさ、友達が祭りにおいでっていうのは分かる、酒屋やってるって。
するどい、足りないんだって、男手が。
それで、いつ。
今度の土日。
って、明後日じゃん。
予定あるの。
ないけどさ。
きまりね、アルバイト了解って返事しとく。
土曜10時から日曜22時まで。
土曜日朝10時10分前、ひとりで高円寺駅前に居た。
彼女は母親に呼ばれ昨夜から実家へ。
初めて来たのに地図もない。
駅員に教わって商店街へ行く。
カレシさんでしょ。
酒屋さん、そうです。
ひとりで行かせるからって電話が。
その後は文字通りこき使われたが、ふだんの日雇いアルバイトに比べると楽。
瞬く間に時間が過ぎて日が落ち掛けると電飾が灯り始めて夜祭の風情が増す。
その頃には店先に出店をして冷やした缶ビールやジュースの即売を始めた。